地図と地質図

地図と地質図について

言わずと知れた地図と地質図ですが、今、普通に見かける地図や地質図には長い歴史と関係者の苦労があって現在に至ります。

地図

地図は地面上の地物の配置を示すための図表です。例えば「国が作成している地形図」も「小学生が作る宝のありか」も全て地図です。以前は紙の上に絵として表現した地図だけでしたが、技術が発展した現在では3Dプリンタなどを使用した立体的な地図も存在します。
電子国土Webシステムの画面 地図は、国だけでなくいろいろな企業が作成しています。たとえばGoogle社が提供するGoogle Mapsは、日本の企業「株式会社ゼンリン」が作っています。世の中では日々建物が作り潰されていますし、土砂崩れなどで地形も変わります。それらのイベントの直後に地図を見てももちろん以前と変わりありませんが、しばらくすると大抵の場合地図が更新されています(インターネット上の地図サービスの場合)。例えばゼンリンでは日本全国に約70の拠点を持ち、日々調査を実施して改訂が加え続けられています。このように、常に最新の状態に地図を維持するのは大変な労力と費用が発生するのです。
もちろんゼンリンだけではありません。
例えば旧アルプス社を吸収合併したヤフーが、その事業を継続しています。スーパーマップルなどの道路地図でおなじみの昭文社もありますし、カーナビの地図を作っているインクリメントP社など、世の中に地図を作っている企業はたくさんあります。
GeoBankでは、日本の主要な地図サービス等についての解説、使い方を説明します。

地質図

日本の地質図は、独立行政法人産業技術総合研究所の地質調査総合センターが、地質学の研究の一つとして日々情報を整備しています。
地質調査総合センターの歴史は古く、明治時代の初め頃に、国の機関として旧内務省の地理局地質課として設置されました。以来その所属に変遷はありますが、現在の地質調査総合センターになるまで100年以上もの間、継続して地質の研究している機関です。
シームレス地質図の画面 地質の調査対象は日本全国ですが、それらを全て同じ人が研究しているわけではありません。多くの研究者が、各自に割り当てられた地域をそれぞれ研究して、地域ごとに地質図が作られています。しかしそのため、隣りあった地域の地質図を並べてみると整合が取れない部分がたくさんあります。地図は、主に測量等によって成果が得られるため、誰が作業しても同じ結果が得られます。しかし地質図は、研究者がそれぞれ調査し、さらに解釈を加えて図にするため、往々にして隣り合った地質図で整合が取れないことがあるのです。このままでは全国的に詳細な地質図となりえないため、地質調査総合センターは日本全国の凡例を統一化、再検討し、20万分の1スケールで日本シームレス地質図という名称で公開しました。
地質調査総合センターでは、地質図の配信が主要な目的の一つでしたが、現在では第三者が独自に地質図を利用しやすいよう、ウェブサービスとして各種機能を公開しています。詳しくは「シームレス地質図とは」のページを御覧ください。